みなさんは、愛犬に「狂犬病ワクチン」「混合ワクチン」をきちんと接種させていますか?日本では、狂犬病ワクチンは接種が義務付けられているため、毎年接種させている方が多いかと思います。ただ、ワクチンに限らずどんな注射であっても、接種後に副作用が出るリスクは存在しています。大切な愛犬に関係することなので、ワクチンによる副作用について理解を深めておきましょう。
ワクチンの接種は必須なの?
ワクチンとは感染症の予防を目的として、弱毒化または無毒化した病原体を人為的に体に接種することで病気への抗体を作り、免疫力をつけるものです。
犬のワクチン接種には大きく分けて、「狂犬病ワクチン」と「混合ワクチン」がありますが、副作用が起きる可能性があっても必ず受けないといけないのでしょうか。
狂犬病ワクチン接種は必須
狂犬病ワクチン接種は、狂犬病予防法により生後91日を過ぎた犬は毎年1回接種することが義務付けられています。日本国内では1957年以降発生していませんが、現在も狂犬病の治療法は確立されていないので、発症すればほぼ100%死亡します。
混合ワクチン接種は任意
複数の感染症の予防のための混合ワクチン接種は任意です。必須ではないものの、ドッグランやトリミングサロン、ペットホテル、犬同伴OKの宿泊施設などでは感染症予防と衛生管理上、混合ワクチン接種を受けていることを利用条件の1つとしていることが多くあります。ですので、感染症予防のほか、そういったメリットを考えて、毎年受けているという飼い主さんは多くいらっしゃいます。
ワクチン接種による副作用は?
ワクチン接種をした後、稀に副作用がみられます。ワクチン接種後、体調に異変が見られたら、速やかに動物病院を受診しましょう。
主な副作用
ワクチン接種による主な副作用としては、以下が挙げられます。
- アナフィラキシーショック(呼吸困難や血圧低下など。急激に起こる重篤なアレルギー)
- 元気消失・食欲低下
- 発熱
- 皮膚症状(かゆみ、蕁麻疹、目や口の周りの腫れ、ムーンフェイス)
- 消化器症状(下痢・嘔吐)
ワクチンを打った後、数分以内で発現するアナフィラキシーショックによる死亡例が報告されており、十分に注意すべき症状といえます。発症した場合は迅速、かつ適切に処置をすれば、その後回復する可能性は高くなります。
ですので、もしあてはまる症状がみられた場合は早急に病院に連絡し、受診しましょう。万が一放置してしまうと、命に関わる症状も含まれます。
また、ワクチンを打った後、数時間で発症する一般的なワクチンアレルギーの際にみられる皮膚症状や消化器症状も、時間の経過とともに治っていくことが多いのですが、これも放置すると体調不良の原因となってしまいます。適切な処置が必要な症状も含まれますので、ワクチンを受けた後はできるだけ安静にしてワクチンアレルギーの発症がないかをよく観察しておきましょう。
ワクチン接種を控えたほうがよい場合
以下のようなときにワクチン接種をすると、体調を崩したり免疫がしっかりつかなかったりという可能性が高まるので、控えたほうがよいでしょう。症状を詳細に伝えたうえで、獣医師と適切な接種時期について相談しましょう。
- 元気がない
- シャンプーをしたばかり、またはすぐにする予定がある
- 下痢や嘔吐
- 消化管内に寄生虫が寄生している
- 栄養不良
- 病気の治療中(ワクチンによって影響を受ける可能性のある病気)
- 発情・妊娠中
- 高齢犬 など
副作用が心配な場合は獣医師に相談しましょう
混合ワクチンは、基本的には健康状態に問題のない子であれば、受けたほうがよいでしょう。もちろん接種は任意なので、副作用を心配して受けさせないという選択肢もあります。
しかし、混合ワクチンには重篤化すると命に関わる伝染病を防ぐ目的があり、受けずに伝染病に感染してしまうリスクや、ドッグランやトリミングサロンなどの利用ができないといったデメリットを考えると、接種させるほうがよいでしょう。
もし、副作用のことが心配であれば、不安な点を獣医師に伝え、よく相談のうえ決めましょう。
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