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【獣医師監修】犬の慢性腎不全について|初期症状や発症の原因、治療法まで解説します

犬の慢性腎不全は高齢犬が発症のリスクが高いとされており、ひとたび発症すると完治することはないので、初期症状を見逃さず早い段階から治療を始めることが非常に重要です。今回は犬の慢性腎不全の症状や原因から、かかりやすい年齢、治療法、予防方法までまとめて解説していきます。

健康管理/病気

犬の慢性腎不全という病気について

犬 腎不全

犬の慢性腎不全とは、長い期間にわたって腎臓の機能が徐々に低下していく状態のことです。初期は無症状なので、飼い主さんが気付かないことが多いですが、慢性的に進行してき、さまざまな症状が現れるようになります。

腎臓の機能は、一度悪くなってしまうと元の状態には戻らないため、症状の進行を遅らせることが非常に重要です。

初期症状

慢性腎不全は、初期のステージ1から末期のステージ4まで、4つのステージに分類されており、ステージ1の段階では特に症状は見られないことが多いです。

しかし、ステージ2の段階になると、多飲多尿の初期症状が見られます。腎臓の機能が低下すると、尿を濃縮することができないことから、濃度の薄い尿を何回もするようになります。それに伴い体内が水分不足になるので、水を飲む量が増えます。

自宅で観察していて、もしもトイレに行く回数が増えたり、頻繁に水を飲むようになったりする場合は注意が必要です。まずは病院を受診し、尿検査と血液検査を行って腎機能をチェックしてもらうべき段階です。

そして、腎臓の機能がさらに低下してステージ3の中期になると、食欲不振や嘔吐、脱水、体重減少などの症状が見られ、ステージ4の末期になると、尿毒症や重度の高窒素血症などを起こします。

他の犬や人間にうつる?

慢性腎不全は、他の犬や人間にはうつりません。

犬の慢性腎不全を発症する原因とは

犬 腎不全

ここでは、慢性腎不全の原因について見ていきましょう。

疾患によるもの

先天性の腎疾患、ウイルスや細菌の感染による腎炎、悪性腫瘍、尿路結石症による排尿障害など、さまざまな疾患が原因となっている場合もあります。

老化によるもの

加齢に伴い腎臓の機能がだんだん低下して、慢性腎不全になることも少なくありません。7歳を過ぎた頃から発症率が高くなると言われています。

かかりやすい犬種や年齢

慢性腎不全は、全ての犬種に起こり得ますが、シニア犬に多い傾向にあります。先述のように、徐々に症状が進行していくので、シニア期の7歳を迎えた頃からは特に注意が必要です。

犬の慢性腎不全の治療方法は?

犬 動物病院

慢性腎不全の治療は、症状の進行を遅らせるための治療と、それぞれの症状を取り除くための対症療法を行います。

慢性腎不全の進行を遅らせるためには、1日の必要カロリーや栄養素を摂取しながらも、タンパク質やリン、ナトリウム含有量を制限した腎臓機能を考慮した食餌が適しているので、そのように調整された療法食を与えていきます。療法食はさまざまな種類があり、どれが合っているかは症状によるので、必ず獣医師と相談した上で購入しましょう。

また、老廃物が体内に溜まらないようにするために、補液として静脈点滴、皮下点滴を実施します。この処置により、体液を増加させて尿量を増やし、体外へ老廃物が排出されるように促します。なお、尿によって排出できない場合は、活性炭を配合した薬を投与して、便からの排出を促します。

食欲が減退している場合は、体力がどんどん衰えてしまうので、腎臓に負担のかからない範囲で食欲増進剤を、嘔吐する場合は制吐剤を投与します。

治療にかかる費用

病院によって費用の幅はありますが、症状が軽度で通院のみの場合、1回あたりの通院にかかる費用は、診察料や血液検査料、皮下点滴料が含まれて1万円〜2万程度が目安です。

症状が重く入院が必要な場合、入院費は平均で5万円程度かかります。(※1)

犬の慢性腎不全の予防策

犬

慢性腎不全の予防法はないので、定期的に血液検査や尿検査をしておくことが大切です。早期に発見できれば、治療を早い段階から始められるので、症状の進行を遅らせることができます。

また、栄養バランスのよい食餌を与えることも重要です。偏った食餌やおやつのあげすぎにより過剰に塩分やタンパク質を摂取していると、腎臓に負担がかかり発症のリスクを高めてしまいます。愛犬のライフステージに合った良質な総合栄養食を与え、バランスのよい食餌と生活を心がけましょう。

犬の慢性腎不全は初期症状を見逃さないで

ゴールデンレトリバー

慢性腎不全によって悪くなった腎臓は、元の状態には戻りません。しかし、療法食による食餌療法や輸液療法、薬物療法によって、症状の進行を遅らせたり、辛い症状を取り除いてあげたりすることはできます。もし多飲多尿の初期症状が見られたら、すぐに獣医師の診察を受けるようにしましょう。

<参考文献>

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