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動物愛護法の改定で実質禁止に。犬の「移動販売」の実態について

各地の展示即売会場やショッピングセンターなどを回り、犬や猫を販売している移動販売は、動物の身体に負担がかかることや事前にしっかりと説明がされないことなど、さまざまな問題点があります。 今回は、犬の移動販売の実態や問題視されている理由、移動販売に関する法規制についてご紹介します。

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犬の移動販売の実態とは

犬

 犬の移動販売は、全国各地のイベント会場やショッピングセンターなどを回り、大量の子犬や子猫を売りさばく販売形態のビジネスです。日本のルールでは、24時間以内の販売であれば届出が不要なので、短期間で次々と会場を回って販売します。 

動物取扱業の登録があれば誰でもできる

 犬の移動販売をするには、動物取扱業の登録が必要です。2019年度において、移動販売を含む犬猫の販売業の登録は、12,730件となっています。(※1) 

販売している子犬の出どころ

 移動販売で販売されている子犬は、ペットオークションやペットショップで売れ残った子犬などです。以前は保健所が売れ残りの子犬を引き取っていましたが、2013年からは業者からの引き取りを拒否できるようになったため、移動販売業者や引き取り屋などに買い取ってもらっています。そして移動販売業者は、タダ同然のような値段で引き取った子犬を高値で販売します。

このように移動販売は、売れ残りの子犬をなんとか処分したい側、安く買いたたくことができる移動販売者、どちらにとっても都合がよいということです。命のある動物を軽視し物のように扱う移動販売には、さまざまな問題が浮き彫りになっています。

犬の移動販売が問題視される理由

犬

 犬の移動販売は、以下のようなことから各所で問題視されています。 

犬に負担がかかる

 長距離の輸送やケージに閉じ込められて騒がしいイベント会場で過ごすのは、子犬にとって大きな負担です。中にはそれが原因で衰弱し、輸送時に死亡してしまう犬もいます。 

必要な説明がされていない

 販売者が、それぞれの犬種に関して熟知していない場合も多いことから、犬種の特性などを十分に説明しないで購入を勧めることがあります。そのため、安易に購入した飼い主が「手に負えないから」「思っていた性格と違うから」などの理由によって飼育を放棄してしまうことが懸念されています。 

アフターフォローがあっても受けられない可能性あり

 実店舗を持たないので、なかなか連絡が取れないような状況もあるかもしれません。そのため、アフターフォローがあったとしても受けられない恐れがあります。 

動物愛護法の改定による移動販売の規制

犬

 ここでは、犬の移動販売に関する法規制について見ていきましょう。 

移動販売は実質禁止に

 動物愛護管理法には、直接的に移動販売を禁止とする規制はありませんが、実質禁止になったと言えます。

販売業者には、購入希望者に対して動物の現物確認、および対面説明するよう義務付けられています。そこに、「事業所内」で現物確認と対面説明をすることと限定が加えられ、2020年6月に施行されました。移動販売は事業所を持たないため、現物確認と対面説明は「現地」でしかできません。よって、実質禁止になったということです。 

新潟県では条例による規制強化で移動販売を実質禁止

 新潟県は条例で、犬猫の輸送に関する記録の保存と、輸送後に動物の健康チェックを2日間行ってからの販売が義務付けられています。移動販売業者は、待機の2日間は利益ゼロで滞在コストがかかります。このように移動販売業者がやりづらくすることで、実質禁止に追い込みました。 

移動販売の実質禁止は動物福祉の向上に繋がる

犬

 心身ともに未熟な子犬を輸送し次々と移動して販売するのは、子犬にとって肉体的にも精神的にも大きな負担でしかありません。日本のペット事情は改善すべき問題がまだまだありますが、生体の移動販売が実質禁止になったことは、動物福祉向上の1歩になったと言えるでしょう。

出典

※1:環境省|動物取扱業者の登録・届出状況(都道府県・指定都市)

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