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【獣医師監修】老犬の罹患率が高いクッシング症候群|初期~末期の症状と病気との向き合い方

「クッシング症候群」という病名を聞いたことはありますか?内分泌疾患であるクッシング症候群は、シニア期の犬がかかりやすいと言われている病気です。病気が進行し末期になると、さまざまな合併症を引き起こすリスクがあり、病状が悪化すると治療が難しくなることもあるので、早期の発見が非常に重要です。

この記事では、クッシング症候群の初期〜末期の症状と病気との向き合い方を解説します。

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クッシング症候群とは

元気のない犬

犬のクッシング症候群とは、副腎皮質機能亢進症とも呼ばれ、腎臓の頭側にある副腎という臓器の皮質からコルチゾールというホルモンが過剰に分泌されてさまざまな症状を引き起こす病気です。犬の内分泌疾患(ホルモンの病気)の中で最も多く、500頭に1頭ぐらいの割合で発症すると言われています。 

かかりやすい犬種や年齢

クッシング症候群は、8歳以上の犬がかかりやすい病気です。好発犬種はボストンテリア、ビーグル、ダックスフンド、プードル、ボクサーなどと言われています。

クッシング症候群の原因

クッシング症候群の主な原因には、以下が挙げられます。

  • 脳下垂体の腫瘍
  • 副腎の腫瘍
  • 他の病気の治療によるステロイド剤の長期投与

クッシング症候群の約9割が、脳下垂体の腫瘍が原因と言われています。副腎は、脳の一部の下垂体という部分から出るACTH(副腎皮質刺激ホルモン)というホルモンの作用により、コルチゾールを分泌させます。そのため、脳下垂体に腫瘍ができてACTHの分泌が過剰になると、副腎がコルチゾールを過剰に分泌させてしまうのです。

また、脳下垂体には問題がなくても副腎そのものに腫瘍ができた場合に、コルチゾールの分泌は過剰になります。

クッシング症候群の症状|初期~末期

水を飲む犬

クッシング症候群は病気が進行して末期になると、合併症を引き起こすことがあります。また、命にかかわる状態に陥ることもあるため、その症状を早期に発見することが肝心です。 

初期症状

初期症状は、多飲多尿、おしっこの回数が増える、多食気味になるなどが挙げられます。以前よりも水をたくさん飲むようになり、それに伴っておしっこの回数、量が増えます。

お水をたくさん飲むようになっても、ただ「喉が渇いているのかな」と見過ごしてしまいがちなので注意が必要です。犬の体重1kgあたり100ml以上の水を飲むようであれば多飲の状態と考えられるので、診察を受けたほうがよいでしょう。

中期症状

中期になると、左右対称に脱毛、お腹が膨れる、息が荒いといった症状が見られます。老化のせいだと勘違いしてしまう飼い主さんも多いので、おかしいなと感じたら早めに動物病院を受診して、血液検査を受けましょう。

末期症状

病気が進行して末期になると、以下のような症状が見られるようになります。

  • 免疫機能が抑制される
  • 血糖値が高くなる
  • 自力で動けなくなってくる
  • 血栓ができやすくなる

また、以下のような合併症を引き起こすおそれもあります。

  • 皮膚炎
  • 糖尿病
  • 膀胱炎
  • 感染症

病気によって免疫機能が低下し合併症を起こしてしまうと、さらに病状が悪化して治療が困難になり、死に至ることもあります。そのため、早い段階で気づいて治療を始め、進行を抑えることが重要です。

クッシング症候群の治療法

元気ない犬

ここでは、クッシング症候群との向き合い方についてお話しします。

可能な治療法を獣医師と相談する

クッシング症候群の治療は、薬剤による内科的治療が中心となります。腫瘍が小さい場合は内服薬での治療ができますが、腫瘍が大きい場合は放射線治療や外科的手術が必要になってきます。

しかし、放射線治療の設備がある動物病院は非常に少ないのが現状です。また、脳下垂体の手術は難しく、脳外科手術ができる設備が整った動物病院も獣医師もかなり限られています。

このような現状を踏まえ、獣医師にどんな治療の選択肢があるのかをよく説明してもらい、相談しながら治療方針を決めていきましょう。

治療薬の副作用に注意

コルチゾールの過剰な分泌を抑えるための薬を投与する際は、注意深く愛犬を観察するようにしましょう。下痢や嘔吐、食欲減退、元気消失などのいつもと違う様子が見られたら、薬が効きすぎてコルチゾールの分泌が必要以上に抑えられてしまっている可能性があります。速やかに動物病院を受診し、獣医師の指示を仰ぎましょう。

早期発見と適切な治療が大切

犬 ぬいぐるみ

犬のクッシング症候群は、末期になると合併症により命にかかわる危険な状態に陥ることも少なくありません。また、放射線治療や外科的手術ができる動物病院が限られているので、腫瘍が大きい場合はこれらの治療が受けられない場合もあります。

早期の段階で異変に気付くことができるよう、普段から愛犬の様子を観察することを心がけるようにしましょう。

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