犬同士を戦わせるブラッド・スポーツの一種である「闘犬」。近年では、動物虐待とみなされ法律や条例によって禁止する地域が増えていますが、一部の地域ではまだ残っています。
今回は、そんな闘犬の歴史や代表的な犬種、その犬種を家庭に迎える際の注意点などについて紹介していきます。
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闘犬の歴史
犬の歴史は古く、ローマ時代に始まりました。元々イギリスの軍用犬だったマスティフが、勇敢にローマ軍を迎え撃ったことからローマ軍がその魅力に惚れ込み、数頭を連れ帰り、クマやライオンと戦わせる猛獣闘技に用いられました。
闘犬が盛んだった18~19世紀
闘犬の全盛期は18〜19世紀で、ライオンや牛と戦わせるものから、闘争性の高いブルドッグと敏捷性のテリアをかけ合わせたブル・テリアなどの犬同士を戦わせる娯楽が盛んに行われていました。
闘犬としての凶暴さや強さを高めるために品種改良されていましたが、20世紀頃になると家庭犬として犬が愛されるようになり、動物愛護の観点から衰退していきました
現在では、イギリスなどの動物愛護先進国などでは、国が闘犬を禁止しているところもありますが、日本のように禁止されてない国もあります。
日本での歴史
日本においても、昔から闘犬文化がありました。
江戸時代には、すでに愛犬家と闘犬推奨派が争っていたことが記録されています。特に闘犬が盛んだった高知県や秋田県などでは、日本犬と洋犬を交配させてより強い闘犬を誕生させるなど力をいれていました。今でもこの2県では、伝統文化として受け継がれています。
日本原産の闘犬をご紹介
闘犬は、世界中に20犬種以上いるといわれています。日本でも有名な土佐闘犬や秋田犬、ブル・テリアやピットブル、ジャーマンシェパード、ロットワイラー、グレートデンなど大型犬から超大型犬を中心とした犬種です。そのなかでも、日本原産の秋田犬と土佐闘犬について紹介します。
秋田犬
忠犬ハチ公として知られる秋田犬も実は、闘犬だった歴史があります。秋田犬の先祖犬は「マタギ犬」という中型の猟犬と言われており、元々は狩猟犬や番犬として飼育されていました。
江戸時代に秋田県で始まった闘犬では、マタギ犬が使われるようになり、明治時代にはより大型で強さを求めるようになり、ジャーマンシェパードやグレートデン、土佐犬などの大型犬種との交配より大型化しました。
現在では、改良が進み愛情深く飼い主に従順な家庭犬として、国内外でも人気がありますが猟犬や闘犬としての気質が残っている部分が少なからずあるといえます。
土佐闘犬
闘犬と言えば、土佐犬を思い浮かべる方が多いでしょう。土佐闘犬は筋肉隆々のがっちりとした体格に噛まれても怪我をしないようたるんだ皮膚でできたシワが特徴的な大型犬です。
高知の土佐藩では闘犬が盛んであり、江戸時代末期から洋犬を輸入し、より大きく強い闘犬を作り出すための交配が行われました。オールドイングリッシュマスティフやブルドッグ、セントバーナード、ブルテリア、グレートデンなど闘犬として活躍していた犬種を交配に使用し、土佐闘犬が誕生しました。
闘犬の歴史を持つ犬種を飼うにあたって気をつけること
闘犬をルーツに持った犬種を家庭に迎え入れる場合は、安易な気持ちで飼育すべきではありません。闘犬として活躍した歴史を持つ犬種を迎える際の、注意すべき点について紹介していきます。
たっぷりと時間を取ることができるか
どんな犬種でも言えることですが、闘犬種を迎える場合はより多くの時間を愛犬に割いてあげる必要があります。大型で力が強く、スタミナもあるため子犬のうちからコントロールできるようしつける必要があります。
見知らぬ人や動物には警戒して攻撃的になることもあるため、子犬の頃からたくさんの人や動物と触れ合わせることも大切です。
しつけを成功させるためには、愛情をたっぷりとかけて信頼関係を築く必要があります。コミュニケーションの時間をたくさんとるとともに、運動量も十分に補ってあげましょう。しつけが完了するまでは、口輪を付けたり人通りが少ない時間帯に散歩にでかけるなど工夫も必要になります。
特定犬に定められている犬種も
土佐犬のような闘犬としての素質が根強く残っている犬種は、一般家庭での飼育は特に難しいでしょう。
飼い主の管理不十分により、死亡事故を含む咬傷事件などが起こっているのも事実です。
滋賀県や茨城県など一部の地域では、闘犬のルーツがある犬種は条例で特定犬に定められていることがあるため、迎える前に住んでいる地域の保健所や愛護センターを確認しておきましょう。
実は穏やかで従順な子が多い闘犬
闘犬といっても本来は穏やかで従順な犬種がほとんどです。人間の欲によってつくりあげられた凶暴というイメージがありますが、犬種の性質をよく理解して接することですれば忠実で心優しい家族になってくれます。
しつけの面や飼育環境、運動量や経済面などにおいて安易な気持ちで迎えるべきではないので、最後まで責任を持って育てることができるかよく考えましょう。
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