愛犬が口を開けているときやご飯を食べているときに、舌が黒っぽく見えて何かの病気ではないかと心配になったことはありませんか?犬の舌が黒っぽく見える原因はいくつかあります。
今回は犬の舌が黒っぽく見える原因や考えられる病気などを解説します。
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犬の舌が黒く見える場合に考えられる4つの原因
犬の舌が黒い場合に考えられる代表的な原因は4つあります。
考えられる原因【1】腫瘍
黒いドーム状のふくらみが犬の舌や粘膜部分にできていたら、腫瘍の可能性があります。良性腫瘍、悪性腫瘍のどちらも考えられます。
考えられる原因【2】チアノーゼ
犬の血中の酸素濃度が下がりチアノーゼを起こすと、正常の状態だときれいなピンク色に見えるはずの口内の粘膜や舌が、赤紫や青紫などの黒ずんだ色に変化します。チアノーゼを起こしている時は、心臓血管系の異常や呼吸器系の異常などが疑われます。
考えられる原因【3】舌斑(ぜっぱん)
舌斑(ぜっぱん)とは、犬の舌にできる黒いシミのことです。中には青みがかっていたり、紫がかった色だったりします。人間でいう「ほくろ」や「蒙古斑」のようなものであるため、犬の健康に支障をもたらすものではありません。古くから血を受け継いでいる犬種に見られ、和犬だと甲斐犬や北海道犬、西洋犬だとジャーマンシェパードやゴールデンレトリバーに多く見られるようです。
考えられる原因【4】犬種による特性
犬の中には生まれつき黒い舌をもつ犬種がおり、シャーペイやチャウチャウが該当します。正確には青みがかった黒色で「黒舌犬」「青舌犬」などと呼ばれることもあるようです。他の犬のようにピンク色でない原因は特定されていないようですが、これは犬種による特性で正常な状態ですので、病気などの心配はありません。
犬の舌が黒く見える場合に考えられる3つの病気
犬の舌が黒く見える時に考えられる病気は複数あります。
併発する症状【1】口臭がひどくなったり、口からの出血が見られる
犬の舌に黒いふくらみがあり、口臭がきつかったり口からの出血を伴う場合は、悪性腫瘍である可能性も考えられるため、できるだけ早く病院を受診して、必要な検査や治療について相談した方が良いかもしれません。
考えられる病気【1】悪性黒色腫(メラノーマ)
悪性黒色腫は色素を作る細胞のメラノサイトが癌化してできる腫瘍です。多くの場合歯肉部から発生することが多く、次いで唇、舌、上あごの硬口蓋という順番に発生します。発症すると進行が早く、初診時には腫瘍が口腔内のかなりの部分を占拠し、肺やリンパ節への転移が高頻度に見られます。
治療として優先されるのは、悪性黒色腫を含む広範囲の摘出手術です。取りきれなかった悪性黒色腫や転移性病変に対し、抗がん剤を使用した補助的化学療法も行われます。治療後も再発が多いため、定期的な検査が必要になります。
併発する症状【2】痰を吐くような咳をする
舌が黒っぽい紫のような色味の状態で、痰を吐くような咳をしている場合は、心臓疾患の可能性があります。チアノーゼと呼ばれる酸欠状態により舌の色が変色しているのかもしれません。 チアノーゼが続くと命に関わる可能性も考えられるため、できるだけ速やかに病院の受診をおすすめします。
考えられる病気【2】僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症とは、左心室から大動脈へ血液を送る際に、血液が左心房へ逆流するのを防ぐ僧帽弁が変性し、その機能が低下してしまう病気です。僧帽弁がうまく閉じなくなることで血液が逆流し、全身へ血液を送ることができなくなります。
初期の段階では全身に大きな影響は見られませんが、進行に伴い粘膜や舌の色が紫などの黒ずんだ色になるチアノーゼ、呼吸困難などを引き起こします。 治療は投薬による内科的治療を行いますが、重症度によっては手術を検討することもあります。
併発する症状【3】咳が続き呼吸の様子がおかしい、呼吸音が異常
慢性的な咳が続いたり、呼吸音が異常なときに舌が黒っぽい紫に見える場合は、気管支や肺の病気が疑われるため早めに病院を受診しましょう。
考えられる病気【3】慢性気管支炎から重篤化した肺炎
犬の慢性気管支炎は、刺激物やウイルス感染により気管支に炎症を起こす病気です。重篤化すると肺まで感染や炎症が波及し、呼吸困難になり、チアノーゼを起こすこともあります。完治は困難とされていますが、抗炎症薬や気管支拡張薬などの薬を使用し、咳や感染などをコントロールする治療が行われます。
犬の舌が黒っぽく見える場合の対処法とは
犬の舌が黒い状態になっていたら飼い主さんにできることは限られていますので、なるべく早く病院を受診するのが対処法となります。
速やかに動物病院を受診する
舌斑や犬種により犬の舌が黒い場合は気にする必要はありません。しかしそれ以外が原因の場合は少しでも早く病院を受診し、適切な検査や処置を行ってあげる必要があります。
愛犬の身体の変化を見逃さないようにしましょう
犬は人間のように言葉を話せないため、自分の体調不良を飼い主さんに伝えることができません。しかしほとんどの場合、何かしらの病気の際には犬の身体に変化が起こってきます。少しでも苦しい思いをさせないためにも、気になることがあればすぐに適切な検査や処置をし、自宅で適切なケアができるようにしましょう。
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