犬が前足で顔や口元をかく姿は眠そうに見えてかわいい仕草ですよね。しかし一見かわいく見える仕草でも、頻繁に繰り返す場合には、目や口元などにかゆみや違和感を感じている可能性があります。今回は、犬が前足で口をかく場合に考えられる原因や病気、対処法などについてご紹介します。
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犬が前足で口をかく場合に考えられる原因
犬が前足で口をかくのは、違和感を感じている可能性があり、原因としては以下のようなものが考えられます。
考えられる原因1.ストレス
犬が何らかのストレスを感じている場合、不快感を軽減し、気持ちを落ち着かせるための行動として、ある特定の行動をすることが習慣になっていることがあります。 口元を触ったり、後ろ足で耳の付け根をかいたり、足を舐めたりなど、その子によってどんな行動をとるかはさまざまです。
考えられる原因2.アレルギー
アレルギーが原因となって口元をかくことがあります。食物アレルギーの場合、顔周りにかゆみを感じて前足で口元をかくことがあります。アトピーの場合は、口の周りだけでなく耳や肉球などをかゆがることもあります。
考えられる原因3.口の中の異物感や痛み
歯に歯石が蓄積すると、歯肉や口腔内の粘膜が赤く腫れてしまうことがあります。犬は口の中に痛みや違和感を覚えて、前足で口元をかきます。
考えられる原因4.外部寄生虫や細菌感染
ヒゼンダニなどによる皮膚の外部寄生虫や細菌に感染すると、強いかゆみを感じる原因となります。かゆみだけでなく皮膚が赤くなり脱毛を伴うこともあります。
犬が前足で口をかく場合に考えられる病気
犬が前足で口をかくのと同時に、以下の症状を伴っている場合に考えられる病気を挙げていきます。
口の周りを触られるのを嫌がる場合
犬の口唇や口腔内、上顎、下顎、舌などに炎症のような症状(見た目は発赤、湿疹、腫れ、出血跡、できものなどさまざま)がないかチェックしてみてください。食欲不振や口からの出血、よだれが大量に出る、口臭が強くなるなどの様子も見られることがあります。
考えられる病気1.口内炎
口内炎は歯垢や歯石が付着して粘膜に炎症が起こることで生じるほか、免疫力の低下、さらには硬いものや尖ったものを誤食した際や熱いものを口にした際に口内に傷がつくことで引き起こされる場合もあります。
皮膚が赤くなり脱毛している場合
口の周りの皮膚が赤くなり、脱毛も伴っている場合は、以下の病気も考えられます。
考えられる病気2.アレルギー性皮膚炎
犬にノミが寄生している場合、ノミの唾液に対してアレルギーを起こし、強いかゆみを引き起こします。(ノミアレルギー性皮膚炎)また、食物アレルギーや花粉、ハウスダストがアレルゲンとなる環境アレルギー(アトピー性皮膚炎)、身の回りにある様々なものがアレルゲンとなる接触性アレルギーなどにより、口の周りにかゆみが生じているケースもあります。頻繁に口をかいていて、皮膚が赤くなり、脱毛している場合は早めに病院を受診しましょう。
口臭やよだれが増えている場合
口周りをかく仕草だけでなく、口臭がきつくなったり、ヨダレが増えたりする症状がみられたら歯茎や口腔内の粘膜を確認してみましょう。
考えられる病気3.歯周病・口腔鼻腔瘻・眼窩下膿瘍
口臭が強くなったりよだれが増えている場合に考えられる病気の中でもっとも可能性が高いのは歯周病です。シニア犬によくみられる歯周病は、歯肉が炎症を起こすため痛みを伴います。歯周病が重症化することで、鼻の穴と口がつながってしまう口腔鼻腔瘻(こうくうびくろう)や、ウミが皮膚から出てくる眼窩下膿瘍(がんかかのうよう)となる可能性があります。
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フケや赤い発疹が見られる場合
犬が皮膚をかきむしることでフケや赤い発疹がみられる場合は、以下の病気の可能性もあります。
考えられる病気4.感染症による皮膚疾患
他の犬や人間にも寄生する可能性がある外部寄生虫や、犬自身の免疫力の低下により起こる感染症によって皮膚炎を起こすことがあります。 炎症による発赤や、免疫反応によりフケの増加や脱毛などがみられるのも特徴です。
犬が前足で口をかくときに必要な対処法
口周りの皮膚をかきすぎて炎症や外傷となり、そこから細菌が侵入してひどくなる場合も。そうならないために、動物病院に連れて行くこと以外に飼い主さんができる対処法をご紹介します。ほかに症状がないかよく観察し、病気が疑われる場合にはなるべく早く動物病院を受診しましょう。
対処法1.口の中に異物が挟まっているなら取る
歯に食べ物などの危険ではない小さな異物が挟まっているだけの場合は、簡単に取れそうな場合に限り取ってあげましょう。このとき、噛まれないように注意してください。
取るのが困難な異物や奥の方に挟まっているという場合は、無理に取り除こうとすることで口内を傷つけてしまったり、かえって状況が悪くなってしまうこともあるので、飼い主さんは手を出さずにすぐ病院に連絡し、受診しましょう。特に画鋲や竹串などを誤飲・誤食した場合は、口腔内や消化管を傷つけてしまう恐れもあるため、すぐに受診しましょう。
対処法2.皮膚のコンディションをよくする
皮膚のコンディションが良くないと、炎症を起こしやすくなったり感染しやすくなる可能性があります。 その子の皮膚の状態に適したシャンプーや保湿剤などを使用し、正しいスキンケア方法で行なうことで痒みなどの改善が期待でき、皮膚トラブルを起こしにくくなることも少なくありません。かかりつけ医と相談しながら皮膚のを清潔に保ち、バリア機能を高める手助けをしてあげましょう。
また、ごはんの食べかすが口の周りに残っていることでかゆみを引き起こすケースもあるので、ごはんのあとや水を飲んだ後、口の周りが汚れた後などはこまめに拭き取ってあげるのも効果的です。あまり頻繁に拭いたり、ごしごしと強く擦るとかえって刺激となり皮膚トラブルが生じることもあるので、そこまで神経質にならずに気づいたときに優しく拭き取ってあげるようにしましょう。
対処法3.エリザベスカラーを装着する
顔周りにエリザベスカラーを装着することで、物理的に前足で口をかけないようにするのも1つです。犬は我慢することができないので痒いと感じたら気が済むまで搔きむしってしまいますが、そうすることで皮膚の状態が悪化してしまうケースも珍しくありません。症状の悪化を防ぐためにも、一時的にエリザベスカラーを装着してみることも検討してみてください。
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普段から愛犬の仕草を観察するようにしましょう
犬が前足で口をかく原因はさまざまです。ちょんちょんと愛犬が前足で口をかくのは些細な仕草に見えますが、頻度によっては注意が必要な場合もあります。中には一過性のものではなく病気が隠れていることもあるので、いつもと様子が違うと気づいたら、かかりつけの動物病院を受診しましょう。
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