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【獣医師監修】犬の心タンポナーデについて|どんな症状?予防はできる?

犬の心臓疾患の1つに「心タンポナーデ」という病気があります。初めて聞いたという飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。全ての犬種でかかる可能性があり、成犬~シニア期にかけて発症しやすく、心臓の機能が著しく損なわれることから、迅速な処置が必要です。本記事では心タンポナーデがどんな病気であるのか、発症の原因や治療法とあわせて解説していきます。

健康管理/病気

心タンポナーデってどんな病気?

犬

心膜と心臓の間には心膜液(心嚢水)という液体が少量存在していますが、何らかの原因により液体が異常に溜まることで心臓が圧迫され、心臓のポンプとしての機能が低下した状態を「心タンポナーデ」と言います。

心タンポナーデ

心膜液が貯留してきている状態に見られる症状とは

心タンポナーデになると、心膜と心臓の間に溜まった液体によって心臓の動きが阻害され十分に機能できなくなることから、食欲不振、呼吸困難、運動不耐、虚脱などの症状が見られます。

心臓の機能が著しく低下するため、命に関わることもある状態ですが、心タンポナーデになってから重篤な症状が出ることが多いので、初期症状に気づけないことがある厄介な病気です。

心タンポナーデを発症する原因は何?

犬

犬が心タンポナーデを発症する原因として考えられるものはいくつかあります。1つずつ見ていきましょう。

原因1.腫瘍性疾患

犬が心タンポナーデを発症する原因の多くは腫瘍性疾患だと言われています。心臓腫瘍の多くは悪性度の高い血管肉腫であるとされていますが、大動脈小体腫瘍や異所性甲状腺癌、リンパ腫などの報告もあります。

血管肉腫はジャーマン・シェパードやラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバーが好発犬種とされています。

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原因2.特発性

特発性(※)心嚢水により心タンポナーデを発症することもあります。

※特発性とは「原因不明」という意味です。

原因3.僧帽弁閉鎖不全症

僧帽弁閉鎖不全症とは、左心房と左心室の間にある「僧帽弁」という血液の逆流を防ぐ役割を持つ弁が、何らかの原因により閉じにくくなることで、血液が逆流してしまう状態です。血流が逆流することで左房が破裂し、心膜と心臓の間に血液が流れ込んで心タンポナーデを引き起こすこともあります。

マルチーズやシーズー、キャバリア・キングチャールズ・スパニエルが特にかかりやすいと言われているので注意しましょう。

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原因4.外傷

外傷(交通事故など)によって心タンポナーデが引き起こされるケースもあります。

心タンポナーデはどのように治療するの?

犬

心タンポナーデの治療としては心膜と心臓の間に溜まった液体を抜くことがまず第一に挙げられます。ただし、何度抜いても溜まってしまうケースもあり、また溜まった液体を抜く処置である心膜穿刺は、リスクが高いため行わない動物病院も多いです。

血管肉腫などの悪性腫瘍が原因となっている場合には、根本的な治療を行わない限り再発することが多く、外科手術が必要になることもあります。しかし、心臓の手術を行うことができる動物病院は全国的に見てもあまりありません。

治療にかかる費用

心タンポナーデの診断にあたっては一般的な身体検査のほかに、胸部X線検査や心エコー図検査、心電図検査、性状検査などを行うことがあるため、それなりの費用がかかることが予想されますが、動物病院は自由診療のため具体的にどれくらいかかるかは分かりません。

溜まった液体を抜く処置である心膜穿刺はリスクが高いため、費用は5000円から10000円くらいを見ておくとよいでしょう。外科的な処置を行う場合には100万円以上かかることも珍しくありません。 

心タンポナーデの予防方法は?

犬

犬の心タンポナーデの原因はさまざまですが、腫瘍性疾患や特発性が原因となっていることが多く、予防することは難しい病気です。そのため、定期的な健康診断や日々の愛犬の様子をよく観察して早期発見に繋げることが重要になります。

健康なうちであっても年に1回は動物病院で健康診断を受診するようにしましょう。シニア期に入ったら半年に1回が目安です。

心タンポナーデは早期発見がカギ

犬

犬の心タンポナーデは予防することが難しく、また、初期症状に気がつきにくい厄介な病気です。しかし、速やかに処置しなければ命に関わるケースもあるため、できるだけ早期に発見することが重要になります。

心タンポナーデは心膜穿刺を行うことで劇的に改善することが多いですが、心膜穿刺はどこの動物病院でも行ってくれるわけではないので、愛犬に心タンポナーデの症状が見られた場合にすぐに診てくれる動物病院を見つけておくことも大切です。

定期的な健康診断はもちろん、普段から愛犬の様子をよく観察しておきましょう。

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