キュートなお尻がかわいいコーギーやトイプードルは、尻尾が短いことで有名ですよね。尻尾が短いのは生まれつきだと思っている方も多いようですが、尻尾を切る「断尾」により短くなっていたり、完全にない状態になっていたりします。
今回は、断尾する理由と、断尾を様々な理由により禁止している国についてお話しします。
断尾をする理由って何?
犬の断尾が行われるようになった理由には、歴史的なものから医学的なものまで様々です。ひとつずつ紹介していきます。
税金対策のため
その昔イギリスでは、尻尾のついた犬に税金が課せられていました。そのため、節税目的で多くの犬が断尾をさせられていたという歴史的な理由があります。
この課税形態が廃止されてからも、なぜかこの断尾は風習として長く残っています。
見た目を「良く」するため
犬には、犬種によってスタンダードと呼ばれる理想的な体型がそれぞれ定められています。この理想的な形に合わせるために断尾する犬種も存在します。
スタンダードが定められていることから、尻尾が長いとその犬種らしさが損なわれるとして貰い手が付きにくくなるというケースもあります。現在でも断尾が行われているのは、この「見た目」を調整するためであるケースが多いです。
怪我を予防するため
断尾が行われる犬種には、狩猟犬、牧羊犬、警備犬など人に仕えていた使役犬が多くなっています。
狩猟犬は獲物を追って藪の中を走り抜けるため、尻尾が長いと怪我を負い化膿してしまう危険性があります。牧羊犬の場合は尻尾を踏まれて怪我をすることもあれば、警備犬は長い尻尾を人に捕まれて危害を加えられる可能性があります。
上記のような危険から犬を守る目的で、尻尾を切られることが多かったようです。
断尾がよく見られる犬種とは
断尾が行われる犬種は、全体の25%程度も存在します。日本でも尻尾が短い犬種を多く目にしますが、犬種ごとに断尾がよく見られる代表的な子たちを紹介します。
牧羊犬や狩猟犬として活躍していた犬種が多く、スパニエル種やテリア種、警察犬として活躍しているドーベルマンなども挙げられます。
トイプードル
ウェルシュコーギーペンブローク
ジャックラッセルテリア
ヨークシャーテリア
ドーベルマン
ミニチュアピンシャー
アメリカンコッカースパニエル
イングリッシュコッカースパニエル
ポインター
など
海外では断尾を禁止している国も
最近では動物愛護の観点から、イギリスやドイツ、デンマークやオーストリアなどヨーロッパの各国で断尾を禁止する国が増えてきています。
断尾には残酷さやデメリットも多く、牧羊犬や猟犬ではない家庭犬の子たちにとっては美容目的以外の理由がないためです。
犬の断尾はどうやっておこなわれるの?
断尾は、生後10日までにブリーダーや獣医師が麻酔なしで行います。メスやハサミでカットする方法もあれば、尻尾をキツくゴムでとめて血流を遮断し壊死させることで断尾する方法もあります。
生まれたばかりの子犬に麻酔をするのはリスクが高いということと、まだ痛覚が未発達だからという理由で無麻酔で行われるのが一般的です。しかし、生まれたばかりでも痛覚があるとするアメリカの心理学者による研究結果も存在します。
中には、痛みで数日ものあいだ鳴き続ける子やショック死してしまう子犬もいると言われています。また、感染症のリスクもあり、免疫力の低い子犬にとってはとても危険なことです。
犬の断尾にはデメリットが多い
尻尾がないことで、生きていく上での様々な障害も存在します。
犬の尻尾は、泳ぐときや走るときなど、バランスや平衡感覚を保つ働きがあります。また、犬同士のコミュニケーションにおいて、尻尾は意思疎通を図るための大事な手段です。
私達飼い主が、犬の尻尾の高さや振り方などを見て喜んでいたり、興奮していたり、怯えていたりするのを感じ取ることができますが、尻尾がなければ様々な感情を感じ取るのは難しくなるでしょう。
また、断尾されたことで、失った部分に痛みを感じる幻肢痛などの副作用も心配されます。
しっぽの長い犬を飼うという選択も視野にいれてみて
日本では、断尾は禁止されていませんが、任意になっており断尾を行わないブリーダーも少数ですが存在します。日本では、ほとんどの犬たちが断尾する必要性のない犬種です。断尾が見られる犬種を迎える際は、断尾しないブリーダーを探して、尻尾が切られていない犬を飼うという選択肢も視野にいれてみるのはどうでしょうか。
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